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洪思翊中将の処刑〈上〉 (ちくま文庫)



洪思翊中将の処刑〈上〉 (ちくま文庫)
洪思翊中将の処刑〈上〉 (ちくま文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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東京裁判を問い直す

洪思翊中将の存在はこの本を読むまで知らなかった。
日本兵として戦い、最後まで立派に国際法にのっとって軍人として役目を果たしにもかかわらず、戦勝国の偏見により処刑されてしまった。
これの意味するところは、何であるのか。改めて考え直すきっかけになった。
国家を超越した忠誠、そして無責任体制の構造

私が本書を読んで強く印象に残ったことはふたつある。

ひとつは、ひとりの人間としても、帝国陸軍軍人としても尊敬すべき洪思翊中将の生き方である。日本留学中に韓国が併合された後、彼が何に忠誠を尽くしたかを知ることにより、日本人とは違う韓国人の「士」の意識が見えてくる。

もうひとつは、軍事裁判でのやり取りを通じて明らかにされる、日本の無責任体制である。それは、責任を逃れようとする意志がなくとも、体制のルールに従っていると責任の所在が曖昧になる体制なのである。そして、この体制下で誰かが責任を全て引き受けてしまうと、体制の欠陥がますます見えなくなってしまうのである。

著者が冒頭でさりげなく触れていることだが、日本人と韓国人の時間感覚の違いの指摘も、韓国人が日本人を信用しない理由を的確に指摘していると思う。
(これは上下巻を通してのレビューです。)
韓国版乃木将軍

自分の韓国観を変えさせてくれた一冊です。筆者はGHQの軍事裁判の欺瞞を暴くとともに、
法廷において常に沈黙を貫きながら、最後まで日本の制服への忠誠を貫いた日本人将校以
上の立派な振る舞いを見事に描いている。
自分の決断を最後まで信じ、13階段を上る前の
私は悪いことは何もしなかった。死んだらまっすぐ神様のところに行くよ。僕には自信が
ある。だから何も心配するな」という言葉に洪中将のすべてが象徴されいると思う。
今裁かれるべきものは、時間(後世、つまり現在)の法廷で日本軍の責任体制のあいまいさ、そしてこのような虚構に満ちた裁判を行った米国自身であろう。それが洪思翊中将の何より
の供養になり、それを通じて、真の良好なる日韓関係を願うばかりである。




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